議場閉場式　川崎市議・市民ら110人出席　議論62年の舞台に別れ

議場閉場式　川崎市議・市民ら110人出席　議論62年の舞台に別れ　ベテラン議員の若き姿に笑顔も

　川崎市議会は13日、第2庁舎にある現議場の閉場式を開いた。市議60人をはじめ、福田紀彦市長や阿部孝夫前市長、議員経験者や市民ら計約110人が出席。先駆的な条例の制定やまちづくりの方向性など、62年間にわたり市政の課題を議論してきた舞台に別れを告げた。（北條香子）
　式では市のフランチャイズオーケストラ「東京交響楽団」が、市出身の歌手、故・坂本九さんの「見上げてごらん夜の星を」や川崎市歌など4曲を弦楽四重奏で披露。昭和期から現在までの議会活動の様子を記録した写真のスライドショーで、ベテラン議員の若いころの姿が映し出されると、出席者から笑いも起きた。
　福田市長は「62年間で川崎が大きな発展を遂げたのも、この議場でかわされてきた議論のおかげ。一つ一つの議決が市の発展の歴史そのものだ」とあいさつ。1983年から7期連続当選し、97年から約2年間、第32代議長を務めた元市議の原修一氏（74）は「伝統と歴史ある第2庁舎ともいよいよお別れ。開かれた議会の伝統と精神を長く伝えていただきたい」と述べた。
　市議会は61年、旧本庁舎2階から第2庁舎7階に議場を移転。60～70年代にかけては、政令市への移行や公害問題などが大きな議題だった。76年には臨海部の東扇島の埋め立て地を東京電力に売却する計画をめぐり、反対する市民団体が審議を妨害しようとし、警察が出動して排除する騒動があった。88年にはリクルート疑惑で百条委員会を設置した。
　家庭や学校、地域での子どもの権利を明文化した「子どもの権利条例」（2000年）や、ヘイトスピーチに罰則を設けた「市差別のない人権尊重のまちづくり条例」（19年）など、全国に先駆けた条例も今の議場で可決した。
　市議会は11月6日、新本庁舎22～24階に移転。第2庁舎は年内に解体が始まり、跡地には25年2月までに広場が整備される予定。

東京新聞　2023年10月14日 07時05分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/283692