【うつ/鬱】うつ病の人は細胞の老化が加速し、死亡リスクの増加につながると判明

ウォルター・リード・アーミー研究所とカリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究者らによる多分野にわたる共同研究により、大うつ病性障害の人の細胞は、大うつ病性障害のない健康な人の細胞と比較して、DNA上の特定の部位におけるメチル化の割合が予想以上に高いことが明らかになりました。

メチル化とは、DNAが特定の部位で化学的に修飾され、その結果、特定の遺伝子の発現に変化が生じるプロセスです。
特定の遺伝子群のメチル化は、「DNAメチル化時計」と呼ばれ、通常、加齢に伴って予測可能な方法で変化しますが、その変化の速度は人によって異なります。
今回の研究では、MDD患者のDNAメチル化パターンは、健康な対照群と比較して、平均して加速していることが示唆されました。

Translational Psychiatry誌に掲載された本研究では、MDD患者49人の血液サンプルを、同年代の健康な対照群60人と比較しました。この比較には、細胞のメチル化パターンに基づいて個人の残りの寿命を予測する数学的アルゴリズムである「GrimAge」クロックを使用しました。
その結果、MDD患者のGrimAgeスコアは有意に高く、同年代の健常者に比べて死亡リスクが高いことが示唆されました。

MDD患者には薬が投与されておらず、健康な対照群と同様に、試験開始前に身体的な健康状態をチェックしていたため、加齢に伴う病的な兆候は見られませんでした。
死亡リスクに関連するメチル化パターンは、喫煙やBMIなどの生活習慣因子を考慮しても持続しました。
これらの知見は、MDDに関連する死亡率や罹患率の増加についての新たな洞察をもたらし、一部のMDD患者において細胞の老化を促進する生物学的なメカニズムが存在することを示唆しています。

UCSFの研究者であるカテリーナ博士は「この研究は、うつ病を脳内のプロセスに限定された純粋な精神疾患から、全身の疾患へと理解する方法を変えるものです。これは、私たちがうつ病に取り組む方法や、うつ病を健康の一部として考える方法を根本的に変えるものです」と述べています。

MDDは、世界的に見ても最も多く見られる健康問題の一つです。世界保健機関（WHO）によると、約3億人（人口の4.4％）が何らかのうつ病を患っているとされています。
MDDは、患者の心血管疾患、糖尿病、アルツハイマー病の発症率や死亡率の増加と関連しています。

本研究の共同研究者であるUCSFのワイル神経科学研究所のオーエン博士は、「うつ病に罹患すると、自殺や生活習慣などを考慮しても、加齢に伴う身体疾患や早期死亡の割合が予想外に高くなることが注目されています。"それは手にオーエン謎であり、それが細胞レベルでの老化の兆候を探すきっかけとなったのです。"

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