【コロナ】最大10日の遅れも　自宅療養支援の「多摩問題」

※2021/8/31 10:00 朝日新聞

　新型コロナウイルス感染者の爆発的な増加に東京都と保健所の対応が追いつかなくなる中、自前の保健所を持たない多摩地域の自治体が、直接自宅療養者への支援に乗り出している。だが、そこには感染者一人ひとりの情報を把握する手段がないという固有の悩みが立ちはだかる。区ごとに保健所を持つ23区などと比べ、提供できるサービスの「格差」を指摘する声もあがっている。

東京都内の保健所
地方自治法改正に伴い1975年に都から特別区23区に保健所が移管され、2002年までに各区1カ所に統合された。多摩地域は都が所管する。97年の地域保健法全面施行時に17カ所から12カ所になり、さらに04年の再編で「二次保健医療圏」ごとに1カ所、計7カ所となった（その後、八王子、町田市は自治体に移管）。武蔵野、府中市など6市を抱える都多摩府中保健所は管内人口が100万人を超え、人員拡充などを求める声が多く出ている。
　稲城市は23日から、自宅療養中で市に連絡があった希望者に対し、食料品（3日分程度）の無償支給を始めた。同市は、日野と多摩の3市を抱える都の南多摩保健所の管内。陽性者に保健所が最初の連絡を取るまでに3～5日の遅れが出て、その後の都の食料支援も最大で5日遅れる実態があったという。担当者は「最大で10日も放っておかれることもある。市民を守る必要に迫られた」と話す。

　南多摩保健所管内では、ほか2市も稲城市に先立ち、食品支援を始めている。

　国立市は17日、職員9人を配置した「自宅療養支援室」を立ち上げた。保健師6人、事務職員3人が、土日祝日を含めた午前9時～午後5時、健康観察の電話や、医療支援の調整などの対応に当たっている。

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