誹謗中傷をする側の哀憐。「私だって本当は、辛い。あの女さえいなければやめられるのに…」

「私だって本当は嫌なんです。でもやめられないんです。あの人のことを考えるだけでもうスマホとにらめっこ、気づいたときにはリプ飛ばしている。本当につらい」

「朝起きたらすぐスマホです。気がついたときにはスマホを覗いている生活です。目的はすべて、フォローしている女をチェックするためです」

　Aさんがフォローしているインフルエンサーの女性はネットの発信で人気となり、一般人から有名人の仲間入りをした。Aさんは、その女性に対する攻撃で何度かアカウントを凍結されている。Aさんは彼女に対して「批判」や「意見」という名の誹謗中傷を続けてきた。

「写真のドヤ顔を見るだけで吐き気が…」

「帰宅中も、帰宅後もスマホでチェックします。もちろんあの女のことです」

「職場でも休憩に入ったら即スマホです。あの女はステマのためにいつもツイートしてるんで」

　Aさんは当時、コールセンターでアルバイトをしていた。国公立大学を卒業後、いろいろあってアルバイトをしながら都下で一人暮らしをしていた。その「いろいろ」の部分はともかく、勉強のできる努力家だった。

「本当にもう、書くこと話すこと全部許せません。写真のドヤ顔とか見ると吐き気がします。ブスのくせに」

「最初はブログがムカつきました。あの女、私大卒のくせに何なの、このブス！　と思いました。でもブログの時はまだマシで、嫌いなだけでコメントとかしても反応あるわけじゃないですし、見なきゃよかっただけだったんですね」

「朝から晩まであの女の間違ってるところを正したり、生意気なところや頭の悪いところを指摘します。汚い言葉もわざと使ってやります。あの女は承認欲求のカタマリですから、こっちが黙ってたってツイートを繰り返しますし、ステマと金のためにバカな記事を書き散らしますからネタには尽きませんでした」

「でもね、私も本当はやめたいんです。あの女がかわいそうとかじゃなくて、時間がもったいないし、仕事とか生活もひどいもんです。さっきも言いましたけど、私はそういう人間じゃないんで」

「あの女がいなくなれば、やめられるのに」

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