【将棋】藤井聡太8冠、“歴代最強”の声に「そうではないと思う」

将棋の第71期王座戦五番勝負（日本経済新聞社主催）第4局が11日指され、永瀬拓矢王座（31）に勝利して史上初の全8冠制覇を成し遂げた藤井聡太名人（21）が同夜、第4局の舞台となった京都市内のホテルで記者会見した。偉業を達成しても「実力に足りないところがある」と話し、「面白い将棋を指すことが一番の目標」と語った。主な一問一答は次の通り。【新土居仁昌、最上聡】

　――8冠達成の率直な感想を。

　◆このような結果になることを自分自身では思っていなかったので、うれしく思っている。ただ、今シリーズは苦しい将棋が多かった。まだまだ実力に足りないところがあるのを感じているので、地位に見合った実力を付けるよう、一層取り組んでいかねばと思っている。

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　――8冠で一つの到達点に達したが、充実感はあるか。

　◆もちろんうれしいが、目標にしていたわけでないので、今後も変わらず取り組んでいきたい。王座戦の経験を今後の糧にできればと思っている。

　――全冠制覇は1996年の羽生善治九段の7冠以来。（今年6月に名人を奪取した）7冠の時点では「（羽生九段と）並んだとは思っていない」と言っていたが、今回は？

第71期王座戦第4局、記者会見で「八冠」の色紙を持つ藤井聡太名人＝京都市東山区で2023年10月11日午後10時44分、山崎一輝撮影
　◆全冠制覇にチャレンジできることはなかなか来ないと思っていた。達成できたことはすごくうれしいし、全冠制覇という点では、羽生先生の記録と並ぶことはできたとは言えるかと思うが、羽生先生は、制覇後もずっとトッププレーヤーとして活躍している。自分も今後も息長く活躍できるように目指していきたい。

逆のスコアでもおかしくなかった
　――王座戦五番勝負のシリーズ全体を通して長手数、逆転の将棋と熱戦が多かったが、内容を振り返ってどう思うか。

第71期王座戦第4局で勝利して8冠を達成し、記者会見する藤井聡太名人＝京都市東山区のウェスティン都ホテル京都で2023年10月11日午後10時51分、山崎一輝撮影
　◆どれも難しい将棋で第3局、第4局は終盤はっきり負けの局面があり、（3勝1敗という結果と）逆のスコアでもおかしくなかった。幸運な結果と思っている。

　――練習将棋で自分を引き上げてくれた永瀬王座が相手だった。戦って改めて感じた強さは？

　◆どの対局でも本当に中盤以降も的確に指されることがすごく多かった。永瀬王座の強さを感じられたことが多く、勉強になったシリーズだった。

　――全冠制覇でタイトル戦に限れば予選やリーグ戦を戦うことがなくなる。モチベーションをどう保っていくか。

　◆今回のシリーズでいろいろ足りないところを感じたので、そこを改善していきたい。これまでと変わらず実力を高めていく。対局がなかったり、時期によって対局数に偏りが出てきたりすると思うので、その辺りをどう補っていくか、取り組んでいく上で考えたいと思う。

第71期王座戦第4局、感想戦で対局を振り返る、8冠を達成した藤井聡太名人。手前は永瀬拓矢王座＝京都市東山区のウェスティン都ホテル京都で2023年10月11日午後9時27分、山崎一輝撮影
　――藤井さんの強さは歴代最強と評されることについてどう思うか。

　◆歴代の強い方との比較は一概にできないので、そう言っていただけるのはうれしいが、自分はそうではないと思う。他の方の将棋を見ていて勉強になることが多いので、変わらず学んでいきたいと思う。

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https://mainichi.jp/articles/20231012/k00/00m/040/004000c