阿部岳氏 “韓国光州事件…〈歴史を都合よく作り替えようとする公権力者は現代も歪めるのでは…〉。安田菜津紀氏は日本の現状と重ねる”

阿部岳 / ABE Takashi
@ABETakashiOki

韓国・光州事件から45年。かつてはこの民主化運動が「北朝鮮が介入した暴動」などとデマで攻撃され、昨年は「北の脅威」を理由に戒厳が宣布された。

〈歴史を都合よく作り替えようとする公権力者は、現代をも歪めるのではないか〉。安田菜津紀さんは日本の現状と重ねる。

権力維持へ歴史歪める　韓国だけではない問題［安田菜津紀エッセイ］ | 沖縄タイムス
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1585901

午後0:19 · 2025年5月19日
https://x.com/ABETakashiOki/status/1924303854574977025

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権力維持へ歴史歪める　韓国だけではない問題［安田菜津紀エッセイ］ | 安田菜津紀エッセイ | 沖縄タイムス

2025年5月19日 5:37

ヘグムと呼ばれる弦楽器を弾く朴泳順さん。背後には、２０１９年５月１８日、光州民主化運動３９年の式典で、当時の文在寅大統領と握手を交わす写真が飾られている

［心のお陽さま 安田菜津紀］（４１）

１９８０年５月、韓国・光州は民主化運動と、それを弾圧する軍による暴力の渦中にあった。２７日早朝、当時学生だった朴泳順（パクヨンスン）さんは、市民側が拠点としていた道庁舎から街に向け、「私たちを忘れないで下さい」と最後の放送を行った。その直後、なだれ込んできた戒厳軍に引きずり出され、凄（すさ）まじい拷問を受けた。

あれから４０年以上がたった昨年１２月、尹錫悦（ユンソンニョル）大統領（当時）が突如、戒厳を宣布し、民主化を成し遂げたはずの韓国社会で、再び戒厳軍が市民の前に現れた。

現地報道によると、戒厳宣布からの１０日間で、光州トラウマセンターには訪問相談８４件、電話相談４２件が寄せられたという。朴さん自身も、武装した軍人たちが国会に突入する姿をテレビで見ながら、動（どう）悸（き）が激しくなったという。

「私はずっと、あの弾圧の記憶に閉じ込められてきました」

４月末、光州市内の自宅で取材に応じてくれた朴さんは、今も不眠や不安症状に悩まされていると語った。

「いつまでこの苦しみが続くのか、自分が4ねば終わるのかと考えたこともあります。けれども私が死んだところで、デマを拡散する人たちがいる以上、事は終わりません」

朴さんが語るように、光州民主化運動を「北朝鮮が介入した暴動」などとする不当なレッテル貼りは絶えない。朴さんのことを「北から送られた女優工作員」と中傷した「評論家」は、今も同様の扇動を続けている。

民間人だけの問題ではない。尹前大統領は戒厳を宣布した際、「北朝鮮に同調する勢力が政権の弱体化を狙っている」と持論を展開していた。こうして民主化運動当時も今も、「北の脅威」を大義名分として掲げ、権力者たちは自らの力を永らえさせようと試みてきた。その根底にある南北分断は、日本の植民地支配の歴史と地続きだ。

歴史を都合よく作り替えようとする公権力者は、現代をも歪（ゆが）めるのではないか－それは日本にもまた、投げかけられている問いのはずだ。

（認定ＮＰＯ法人Ｄｉａｌｏｇｕｅ　ｆｏｒ　Ｐｅｏｐｌｅ副代表／フォトジャーナリスト）