ホワイトハウス付近で銃撃 警戒中の州兵2人が負傷、容疑者確保

【ワシントン=八十島綾平】米首都ワシントンのホワイトハウス周辺で26日、銃撃があった。銃撃を受けたのは東部ウエストバージニア州から派遣されて治安警戒に当たっていた州兵2人で、いずれも重傷という。地元警察によると、容疑者1人の身柄を拘束した。

トランプ氏はホワイトハウスに不在
銃撃は米東部時間26日午後2時15分ごろ、地下鉄のファラガット・ウエスト駅出入り口付近の交差点で発生した。「バン」という発砲音が少なくとも7～8発聞こえたあと、周辺にいた歩行者や車が一斉に逃げ出した。

発砲は2度にわたり、1回目は4～5発、2回目は2～3発の銃声が聞こえた。2回目は州兵や警察による応射の可能性がある。

銃撃直後の現場では、地元警察やシークレットサービスが負傷した州兵に心臓マッサージを施していた。

銃撃現場はホワイトハウスから徒歩5分ほどの距離にある。トランプ米大統領は、27日の感謝祭の祝日にともない地元の南部フロリダ州に戻っており、ホワイトハウスには不在だった。

トランプ氏は自身のSNSで「2人の州兵を撃ったけだものは重い代償を払うことになる」とした。トランプ氏の投稿によると、容疑者も負傷しているという。

首都の治安対策で派遣
ウエストバージニア州のモリシー州知事はXへの投稿で、銃撃されたのは同州から派遣していた州兵だと明らかにした。

トランプ大統領は8月、治安が悪化しているとしてワシントンに州兵800人を派遣する大統領令に署名した。トランプ氏は州兵派遣の発表時に「ワシントンの解放の日だ。われわれは首都を取り戻し、連邦の管理下に戻す」と話した。

州兵は大型イベントなどでは大人数で行動していたが、ワシントン市街地では2人一組で警戒に当たることが多かった。

ワシントンの地元警察は26日、X（旧ツイッター）に「銃撃現場を封鎖した。容疑者の1人を拘束した」とX上で投稿した。ホワイトハウスや米財務省など付近の連邦政府施設も封鎖されたほか、近郊にあるロナルド・レーガン空港も一時閉鎖した。

ノーム国土安全保障長官はX上で「銃撃された2人の州兵のために祈っている。国土安全保障省も情報収集に協力している」とした。

レビット大統領報道官は、トランプ氏の投稿に先立ち「ホワイトハウスはこの悲しい事態を把握しており、大統領にも報告済みだ」としている。

日本経済新聞　2025年11月27日 4:37 (2025年11月27日 6:17更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN26CLM0W5A121C2000000/