学者の全人代こと日本学術会議の会長さん「新首相は6人任命せよ」

学術会議・梶田会長「新首相は6人任命を」　拒否発覚から1年
9/30(木) 21:24
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毎日新聞

　日本学術会議の会員候補6人が任命拒否された問題で、学術会議の梶田隆章会長は9月30日に記者会見し「新首相が誰になっても6人が任命されるように努力していきたい」と述べ、首相に就任する見通しの岸田文雄・自民党総裁に任命を求めていく意向を示した。しかし、岸田氏は「（任命拒否の）撤回は考えていない」と表明している。1日で問題発覚から1年になるが、事態の進展は見通せない。

　梶田会長は定例会見で、問題の長期化について「科学と政治との信頼醸成と対話を困難にするものだ」とする談話を公表。「文字通り試練の1年だった」と振り返り、「解決に向けた1歩になるのであれば（新首相に）直接会って話したい」と語った。

　この1年、学術会議は菅義偉首相に繰り返し6人の任命を求めてきた。4月には「十分な説明のないまま法の定めを満たさない状態が続くなら、会議の独立性を侵す可能性がある」と強く抗議する声明を出したが、返答のないまま菅首相は退陣する。

　自民党新総裁に選出された岸田氏は9月18日の討論会で「既に行われた人事をひっくり返すことは考えていない」と6人の任命を否定。「学術会議自体のありようの議論も踏まえ、次は国民の皆さんに納得いただける人事を考えていく」と述べた。

　問題発覚を機に、政府・自民党は学術会議に組織改革を迫った。自民党のプロジェクトチームは昨年12月、国から独立した法人格への移行を提言し、井上信治・科学技術担当相もその検討を求めた。学術会議は会員選考の透明化や政府への提言能力の強化などの改革を打ち出す一方で、設置形態については「変更する積極的理由を見いだすのは困難」と抵抗している。

　今年5月から政府の総合科学技術・イノベーション会議（CSTI）の有識者議員懇談会が月1回のペースで組織のあり方を検討しているが、井上氏自身が「もう少し時間を確保できれば」と漏らすように議論は深まっていない。

　一方、この間、任命拒否に至る経緯は徐々に明らかになってきた。学術会議は昨年8月末、新会員候補として定数通り105人を政府に推薦したが、新たに開示された内部文書などによると、内閣府の学術会議事務局は昨年6月までに定数より6人多い111人分の名簿を作成し、事前に首相官邸に示していた。正式には提出しなかったが、定数を上回る名簿の提出を求めていた官邸側の意向に沿い、事務方が事前調整を図ったとみられる。

　しかし、内閣府幹部によると、独立性の高い学術会議人事への政治介入の懸念から、当時の山極寿一会長（前京都大学長）は事前調整に否定的で、最終的に105人分の名簿を提出した。

　結局、菅首相は人文社会科学系の学者6人を除いた99人のみを任命した。なぜその6人を拒否したかは今も明らかにされていない。【池田知広、岩崎歩】
https://news.yahoo.co.jp/articles/bf30e30120ed0a48240321071559413906178c27