【アンチワクチン】Twitterの音声チャット「スペース」、反ワクチン活動家らが悪用。

Twitterの音声チャット「スペース」、反ワクチン活動家らが悪用。運営のチェック機能ないまま見切り発車か

今年5月にTwitterの音声チャットサービス「スペース」が開始して以来、タリバン（アフガニスタンのイスラム主義勢力）支持者や白人ナショナリスト、コロナウイルスの誤情報を流す反ワクチン活動家が主催するディスカッションに数百人が参加したと報じられています。

The Washington Postによると、Twitterはスペースを展開する前にいじめや暴力の呼びかけ、ヘイトスピーチを抑止するため必要なモデレーション（SNSでの発言を管理者がチェックしたり、不適切な発言を除外するしくみ）機能を用意していなかったとのこと。幹部らはそれがTwitterのルールを破る可能性が高いと認めつつも、低迷している会社を復活させるためにリリースに踏み切ったと伝えられています。

スペースには人間のモデレーター（管理者）もいなければ、音声をリアルタイムに管理する技術も備わっていません。これまでTwitter社は、ルール違反の取締りにつきコミュニティからの報告に頼ってきました。が、ホスト（スペース作成者）が人種差別など偏見に満ちた意見を述べ、それにリスナーが共感した場合、Twitter社のセキュリティチームに問題を報告する可能性は低いと思われます。

それに加えて、これら問題ある会話がTwitter自らの技術により、ウイルスのように広まったとも報じられています。すなわち多くの聴衆を集めていたため、同社のソフトが人気があると判断し、より多くのユーザーに宣伝してしまったとのことです。

この件につきTwitter広報は「人々の安全を確保し、健全な会話を促すと同時に、ホストやリスナーが自分の体験をコントロールできるようにすることは、（スペースの）開発当初からの重要な優先事項でした」とコメント。その上でスペースの会話をリアルタイムでモデレートする方法を「模索している」としながらも「現時点では利用できない」と認めています。

その一方で、Twitter広報は有害な会話に対するいくつかの防御策があるとも説明。たとえばスペースのタイトルをスキャンして問題あるキーワードを見つけるというものですが、これは一部の綴りを改変することで（“a”を“@”に置き換えるなど）回避されたと指摘されています。

最近Twitter社は有料サービス「Twitter Blue」など数々の新機能を追加してきましたが、それはウォール街、つまり株主や株式市場の圧力が高まるなかで、リリースを急がざるを得ない事情も伝えられています。しかし投げ銭機能のTip Jarもテスト開始直後、送金した相手に本名や住所が伝わってしまう事態が発生していました（現在では修正済み）。

元FacebookことMeta社も、「Instagramが10代少女に有害」という調査データを隠していたことが大きな批判を呼んでいました。Twitter社も今回の報道への対応によっては、スペースの運営方針を再検討することを迫られるかもしれません。

Engadget Japan
Source:The Washington Post　12.13
https://japanese.engadget.com/twitter-spaces-lack-of-moderation-030009896.html