高市早苗氏「外国人が奈良公園のシカ暴行」 突然の主張はどうして？ 急伸した政党に乗っかったとの見方も

奈良公園（奈良市）のシカが外国人観光客に暴行されている──。自民党総裁選が告示された22日、候補者の1人、高市早苗・前経済安全保障担当相が所見発表演説会でそんな主張をし、波紋を広げている。
7月の参院選で「日本人ファースト」を掲げた参政党に自民党支持層が流出したとされており、保守層の支持獲得を意識した発言とも受け取れるが、野党幹部らは「外国人への偏見を助長する」と批判した。（村上一樹、大杉はるか）
自民党総裁選の所見発表演説会で発言する高市早苗前経済安保相＝22日、東京・永田町の党本部で（佐藤哲紀撮影）

奈良県の担当者は「暴力行為は日常的には確認されていない」

高市氏は、奈良市の一部を含む衆院奈良2区選出。
自民党本部で開かれた演説会で、高市氏は「奈良のシカを足で蹴り上げ、殴って怖がらせる人がいる。外国から観光に来て、日本人が大切にしているものを、わざと痛めつけようとする人がいるとすれば、何かが行き過ぎている」と語り、外国人対策への強い姿勢をアピールした。

具体的には、昨年7月に交流サイト（SNS）で拡散された動画を指しているとみられる。動画には、男性が奈良公園内でシカを蹴ったり殴ったりする様子が映っていたが、現在は削除されている。
この動画について、奈良県庁で奈良公園を所管する部署の担当者は、東京新聞の取材に「動画の人物が誰か、外国人であるかどうかは特定されていない」と説明する。

近年、シカを襲って有罪となったのは外国人ではなくて

さらに「毎日2回、公園を巡回をしているが、観光客による殴る蹴るといった暴力行為は日常的に確認されておらず、通報もない」として、暴行行為が頻発しているとの見方を否定した。
奈良公園で、過去にシカが殺傷されたことがあるのは事実だ。
2010年と2021年…

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