ロシアが22日、ウクライナ最大のダムなど各地のエネルギー施設に対するミサイル攻撃を実施したため、ウクライナでは約100万人が電気の届かない状態になった。
欧州最大級のザポリッジャ原発も、一時的に主要電源との接続が断たれたという。
第2都市の北東部ハルキウでは、現地当局によると市内全域が停電している。南西部オデーサでも、5万3000人が電気を使えない状態だという。
一連の攻撃で少なくとも5人が死亡し、14人が負傷した。
国際原子力機関(IAEA)は、今回のロシアの攻撃によってザポリッジャ原発が22日に約5時間、主要電源との接続を失ったと明らかにした。
ただし原発はこの間、唯一残る予備電線で冷却水用の外部電源とはつながっていたという。
ウクライナのゲルマン・ガルシュチェンコ・エネルギー相は、ロシアが「この国のエネルギー・システムを大々的に破たんさせようとしてる」と非難した。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ソーシャルメディア「テレグラム」で、「我が国への支援は遅れているが、そのような遅れは、ロシアのミサイルについてはない」と書き、西側諸国による軍事支援の速やかな提供をあらためて求めた。
ゼレンスキー大統領は、西側諸国が防空システムを提供することの重要性も強調した。
夜通し続いたロシアの攻撃で、ミサイル約90基とシャヘド・ドローン約60機が、ウクライナに撃ち込まれたと大統領は述べた。
標的にされた中には、南部ザポリッジャ州にあるウクライナ最大のダム「ドニプロHES」も含まれる。ウクライナ当局によると、このダムは8回も砲撃された。
現場映像には、ダムから出火している様子が映っているものの、ダム決壊の危険は今のところないという。
現地当局によると、夜間にダムの上を移動していたトロリーバスがミサイル攻撃で出火し、運転手が死亡した。
「午前4時半に大騒ぎになった。ひどい火花と爆発だ。うちの家は一時、傾いてしまった」と、ダムを見下ろす位置に自宅のある住民のヴァレンティナさんはBBCに話した。
IAEAは、ロシアの攻撃によってザポリッジャ原発が約5時間、主要電源との接続を失ったことについて、「この紛争の間、原子力施設の安全が常に危険にさらされている」ことをあらためて浮き彫りにすると指摘した。
ザポリッジャ州のイワン・フェドロフ州知事は、ザポリッジャ市内で建物7棟が全壊し、35棟が破損したと明らかにした。
ウクライナ当局によると、ゼレンスキー大統領の出身地、南東部クリヴィイ・リフや、中部ヴィンニツィアも攻撃され、「不可欠なインフラ」が破損した。
ロシアは2022年2年にウクライナ全面侵攻を開始して以来、ウクライナの電力網を繰り返し攻撃している。
2022年秋と冬の相次ぐ攻撃で、ウクライナでは1700万人が長期にわたり安定的な電力供給を受けられない状態におかれた。
しかし、ウクライナの電力責任者、ウォロディミル・クドリツキー氏は今回の集中攻撃はそれを上回るひどさだったと話した。
「前回の冬でさえ、この国のエネルギー系統への攻撃は昨晩ほどはひどくなかった。十数か所で、電力設備が被害にあった」と、同氏は話した。
特に被害の大きかったハルキウでは、「ロシアは文字通り市内に電力を供給する主要施設をすべて破壊しようとした」のだという。
ゼレンスキー大統領はこれまでに、発電所に対するロシアの攻撃を「エネルギー・テロ」と呼んで非難している。
ロシアがウクライナの電力網を集中攻撃 5人死亡、100万人が停電 - BBCニュース
ロシアが22日、ウクライナ最大のダムなど各地のエネルギー施設に対するミサイル攻撃を実施したため、ウクライナでは約100万人が電力のない状態になった。欧州最大級のザポリッジャ原発も、一時的に主要電源との接続が断たれたという。
ロシアに砲撃されたハルキウの発電所で消火活動にあたる消防隊
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