【カロリンスカ研究所】75%までたばこ税を引き上げていたとしたら、年間28万人以上の子どもの命が救われた…研究員 「低所得国および中所得国では、喫煙に関連する子供の罹患率と死亡率が不釣り合いに高い」

カロリンスカ研究所の研究者が主導し、ランセット公衆衛生誌に掲載された新たな研究によると、低・中所得国でタバコ税を高くすると、特に最貧困層の子供たちの死亡率を低下させるのに役立つ可能性があるという。

世界保健機構（WHO）はタバコの小売価格に少なくとも75％の税金を課すことを推奨しているが、ほとんどの国はそれよりもはるかに低い税金を課している。

マルタ・ラド氏、スウェーデン、カロリンスカ研究所、医療疫学・生物統計学部主任研究員
調査対象となった94カ国すべてがWHOの推奨水準までたばこ税を引き上げていたとしたら、年間28万人以上の子どもの命が救われた可能性があります。
それだけでなく、国連の持続可能な開発目標に沿って、子どもの死亡率における社会経済格差も縮小するでしょう。

この研究では、94の低所得国および中所得国のさまざまな所得層におけるタバコ税と5歳未満児の死亡率の関係を調査した。

この研究は、WHO、世界銀行、国連児童死亡率推計機関間グループ（UN IGME）が2008年から2020年まで公開しているデータに基づいている。

研究者らは、従量税（販売価格に関わらず1箱あたりの固定税）、従価税（製品価値に対する割合）、輸入税、VATなど、さまざまな種類のタバコ税と児童死亡率との関連性を分析した。

彼らの計算によると、たばこ税の引き上げは、あらゆる社会経済階層の子供の生存率を向上させ、最富裕層と最貧困層の間の生存率の差を縮小させる可能性があることが示唆されている。

最も顕著な効果を示したのは物品税であった。

「低所得国および中所得国では、喫煙に関連する子供の罹患率と死亡率が不釣り合いに高い」と、スウェーデンのカロリンスカ研究所とリンショーピング大学の研究者で、本論文の筆頭著者であるオリビア・バノン氏は述べている。

「タバコ税の引き上げは、世界中の子供たち、特に最も脆弱な層の子供たちの健康を改善できる重要な政策措置です。」

「タバコ業界は、増税を含め、世界規模で効果的なタバコ規制措置の実施を妨害し、阻害し、遅らせるための、確立された戦術を数多く用いています。
私たちの研究は、低・中所得国におけるタバコへの増税実施において、政府がタバコ業界の介入やその他の障害を克服するための説得力のある証拠を提供します」とラド博士は述べています。

Higher cigarette taxes could save thousands of children's lives

A higher tax on cigarettes in low and middle-income countries can help to reduce child mortality, especially amongst the...

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低所得国・中所得国94カ国におけるタバコ税と5歳未満児死亡率の社会経済的格差：縦断的生態学的研究
https://www.thelancet.com/journals/lanpub/article/PIIS2468-2667(25)00065-9/fulltext

調査結果
たばこ税総額を10パーセントポイント引き上げると、すべての富裕層において5歳未満児死亡率の低下と関連していた。

たばこ税総額を小売価格の0.0～24.9%から25.0～74.9%、75.0%以上に引き上げると、5歳未満児死亡率の絶対的不平等がそれぞれ3.8%（95%信頼区間0.2～7.3）、7.6%（1.4～13.4）減少した。

この結果は主に個別税によるもので、10パーセントポイントの引き上げごとに絶対的不平等が1.4%（0.3～2.6）減少した。

私たちの推定によると、94の低中所得国すべてでタバコ税の総額を75.0%以上に引き上げれば、2021年に5歳未満の死亡者数を281,017人（196,916人から362,301人）削減できた可能性がある。